テレビドラマ

2017年下半期朝ドラ「わろてんか」の原作「花のれん」と心配なこと

朝の連続テレビ小説「わろてんか」

 2017年下半期のNHK朝の連続テレビ小説「わろてんか」の原作に関する情報です。

 公式サイトの「よくある質問」には「「わろてんか」の原作はありません。脚本家・吉田智子さんのオリジナル作品です。」と明記されていますが、私はほぼ原作と思ってまちがい小説として、山崎豊子さんの直木賞作品を読み始めました。

 吉本興業の創業者「吉本せい」をモデルとしているのが「わろてんか」です。

 「吉本せい」が同じくモデルとなっている小説と言えば、やはり代表作は山崎豊子さんの作品です。



花のれん


花のれん(新潮文庫)

 山崎豊子さんといえば、「白い巨塔」や「華麗なる一族」「大地の子」など、映画化、ドラマ化された小説を多数執筆された作家です。

 なかでもこの「花のれん」は第39回(昭和33年度上半期) 直木賞受賞作品であり、山崎豊子の名を最初に世間に知らしめた作品とも言えるでしょう。



「花のれん」のあらすじ

 こちらも「吉本せい」をモデルとした小説です。
 ドキュメンタリーではないので、事実とは異なる部分もあるようです。

 ただし、大筋では「わろてんか」「花のれん」同じストーリーと思われます。

 船場の商家ヘ嫁いだヒロインが、寄席の経営に乗り出し、夫亡きあとも「女興行師」として、世間の荒波を渡っていく。
 そうやって、後家の踏ん張りで「吉本興業」を、平成の現在まで続く大企業にと育て上げた創業者「吉本せい」の物語です。

 「花のれん」では米問屋の娘「多加」が、船場の呉服屋の息子「吉三郎」と見合い結婚するものの、義父は早々に急逝してしまい、吉三郎は商売が下手で呉服屋は倒産するところから話が展開します。

 吉三郎が呉服屋の仕事が手につかなかったのは、無類の芸人好き、芸事好きで、暇さえあれば寄席へ通ったり、芸人たちと酒席をもうけたりしていたから。
 普通の奥さんなら、夫の芸人好きが原因で家業が倒産してしまったら、離婚して実家に帰るか、遊び暮らしているような夫をなじって、無理やり芸事や芸人達から遠ざけようとするものです。

 しかし多加は夫の芸人好きを認め「いっそそれを商売にしたらいい」と、呉服屋の土地家屋まで売って、場末の寄席(劇場)を買い、今で言う「お笑い業界」の商売を始めるのです。

 紆余曲折あってどうにか寄席経営が軌道に乗るかと思われた矢先、夫が急死。

 多加は「船場の商家に嫁ぐなら、これだけは絶対に持参すべきもの」と当時言われていた「白い喪服」に身を包んで葬儀に参列します。

 白い喪服とは、当時の船場の「御寮人(ごりょうはん・・・船場の商家で主に「若奥さん」を意味する船場言葉)」が「一生二夫にまみえぬ覚悟(今後二度と、死んだ夫以外の男性と関係しない)」を示すものだったそうです。

 「花のれん」では、多加の夫、吉三郎は寄席経営が順調になったことで妾を持ち、妾宅で急死したことになっています。それは今で言う「腹上死」というもので、ようするにその行為の最中に心臓麻痺か脳梗塞かを起こして急死したのでした。

 このくだり、どこまで事実と同じなのか、現時点でまだ私も確認はしていないのですが、「夫が妾宅で腹上死」というのは、今風に行ったら「ゲス不倫していた夫が、不倫相手の家のベッドで、その行為中に急死」ですから、時代が違うとはいえ、その衝撃は相当のものでした。

 それを踏まえての「白い喪服」なので、まわりの人間は今で言うなら、
「あんなゲス不倫のはてに死んだ夫に、二度と別の男性と関係しないという操(みさお)を誓うとは!」
 と驚くのでした。

 しかし、多加が本領を発揮するのはそこから。

 夫亡きあと、寄席の経営を続けていくために、東奔西走して「席主(寄席の責任者)」を続けていく多加の活躍ぶりにはグイグイ引き込まれて、ページをめくる手が止まりません(笑)。

 心底、舌を巻くのは、山崎豊子の語彙の豊富さと、要所要所で短くはさまれる情景描写の的確さです。

 もう一度言いますが、「花のれん」と「わろてんか」は必ずしも同じストーリーではありません。

 そして「花のれん」も、必ずしも「吉本せい」の実話というわけではありません。

 で・す・が、吉本興業所属の芸人さんはもちろんのこと、これかNSCに入って芸人を目指そうかという人まで全員、「花のれん」は必携の書です。

吉本せいのドキュメンタリー

 朝ドラのモデルとなったことで、吉本せいのドキュメンタリーの本も今後、沢山出版されると思われます。





 しかし私はやはり、「花のれん」が読み物としては読みやすくておすすめです。

 ただ「夫が妾宅で腹上死」の部分は、史実とどこまで一致しているのか気になるので、吉本せいのドキュメンタリーも読んでみたいと思っています。

 「わろてんか」は爽やかさ第一のNHK朝ドラですので、ヒロインの夫がゲス不倫とか、腹上死とかいう展開は絶対にないと思われます。

「わろてんか」の心配

 朝ドラ「カーネーション」から「あさが来た」までは全話視聴していた私。

 しかし、「とと姉ちゃん」でなぜか挫折してしまいまいた。
 とどめを刺したのが「べっぴんさん」。
 菅野美穂演じるヒロインの母は、ドラマ開始から一週間で早々に亡くなってしまうのですが、実話では長生きしたと知ってなぜか脱力。一気に見る気が失せてしまいまいた。

 「わろてんか」は大丈夫かな・・・・

 まずヒロイン藤岡てん(モデルは吉本せい)を演じる葵わかなさんは神奈川の出身です。
 別に関西人を演じるから、関西人の女優でなくてはダメだということはないのですが、どんなにNHK大阪の方言指導が完璧でも、関東の人がしゃべる大阪弁は耳障りですね。

 「ごちそうさん」の時のヒロインを演じた杏さんの関西弁がそうでした。ものすごく上手い関西弁でしたが、なんだか、どうにも耳障りで困った。挙句の果てには、杏さん本人がなんだか嫌いになってしまいました。

 それに比べて「カーネーション」でヒロインを演じた尾野真千子さんは、ネイティブな関西人だったので安心感がありました。

 それに重ねて、大丈夫?て思うのが夫役の松坂桃李。
 「梅ちゃん先生」でヒロインの幼なじみで、最後には夫になる役を演じたのが2012年。5年なんて、私にとったら「先月」くらいの感覚なんですよ(笑)。あの「いい夫」のイメージが強すぎて、ダメ夫が演じられるのかと心配。

 「花のれん」を読んでいると、夫の吉三郎がどうしてもイメージ的に「あさが来た」でダメ夫を演じた柄本佑(えもとたすく)に重なってしまいます。
 松坂桃李よりも、柄本佑のほうがずっとイメージが夫役に近い。松坂桃李は心配材料だわ。

 これまで朝ドラを見てきてわかったことは、
「実話がモデルの場合、かなり実話と異なる設定になる」
 ということ。

 もちろん、大筋は実話どおりなんですが、親兄弟や細部のエピソードが、どんどん変えられるんですね。
 だからこそNHKは「原作のないオリジナル」と言っているのですが、やはり「モデルは○○」と言われたら、その人の歴史を調べてしまいます。
 そこと、朝ドラとの違いに、いちいち腹を立てていたら、ドラマは楽しめないのはわかっているのですが、特に親の生き死には気がかりです。

 「べっぴんさん」の母の死も「実際は生きていた」と知ってがっかりしたし、「あさが来た」では逆にその後も出てきた寺島しのぶさん演じる母親が、実話ではとっくに亡くなっていたと知った時もがっかり。「あさが来た」では、ヒロインが暴漢に襲われて怪我をし、そのことが元で「保険」の商売(のちにこれが実在の大同生命になった)に気づくというエピソードも、実は創作だった(暴漢に襲われたということはない)と知って、興ざめしました。

 いや、いいんですよ、わかってんですよ、あまりに実話どおりの筋書きは面白みに欠けるし、現存するご親族にも影響がある。だからエピソードは実話どおりには書けない。いいんです、いいんですけどねえ・・・・

 ということでNHKさん、実話どおりではないとしても、親の生き死にくらいは実話どおりにしてくださいね。

 古い話ですが、橋田壽賀子さんが自らの半生をドラマ化した「春よ、来い」の倍賞美津子さん演じる実母の死の場面や、橋田壽賀子さんのご主人がガンで亡くなる場面は、さすがにご本人がご本人の歴史を書いているので、ほぼ実話どおりで、号泣しました。今思い出してすら泣ける場面です。

 最近の朝ドラに足りないのは、そういったリアリティだと思うのでした。

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