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ジャパンライフに業務停止処分
2017年11月17日に「ジャパンライフに3回目の業務停止命令」というニュースが報道されました。そのことを知って、実際に30年前に私が体験した「ジャパンライフ」の実態を書こうと思いました。
■検索から来られ方はこちら>>実録ジャパンライフ 私の体験談 その1からお読みください
前回の「その1」を超簡単にまとめると、1987年、今からちょうど30年前に私は「ジャパンライフ」が販売する40万円近い寝具セットを購入し、「君も友人に紹介すれば儲かるよ」と言われて「ジャパンライフ」の紹介システムに興味を持ったという内容でした。
実録、実話ですが登場人物は仮名で書いています。
【登場人物】
私・・・会社員
斎藤くん・・・私の会社の同僚
田中さん・・・私の会社の先輩社員
太田さん・・・ジャパンライフのセールスマン・田中さんの地元の同級生
たちまち狂った計画
1987年のこと、会社の同僚の斎藤くんにすすめられて「ジャパンライフ」のビジネスを私は始めました。
ビジネスと言っても方法は簡単でした。
「この寝具セットを買いさえすれば、在庫もいらない、店舗もいらない、開業資金もいらない。今すぐにジャパンライフのビジネスが始められるよ」
と言われて、40万円の寝具セットを36回ローンで買った私は、太田さんという「ジャパンライフのセールスの資格がある人」に知人や友人を紹介して、私が購入したものと同じ40万円の寝具セットをセールスしてもらいました。
6人の人に寝具セットを売り切るまでは、必ず「セールスの資格のある人(「Aさん」とジャパンライフの中では呼ばれていた)」にセールスしてもらうこと。決して知人や友人に直接自分で、寝具セットを売ったり、儲け話があるような事を言ってはいけないこと。条件はこれだけでした。
しかし、そんなに事は簡単にはいきませんでした。
高校時代の友人3人を次々と太田さんの元に連れいて行きましたが、誰一人「買います」という人はいませんでした。
同じアパートの隣人も「いや、ちょっと、私は結構です」とキッパリ断り、苦肉の策で無理矢理名刺をもらって再会を約束した「新幹線で偶然隣に座ったオジサン」に至っては、
「これはある種のマルチ商法というやつではないかな。君、だまされているんじゃないの?大丈夫かね?私はこんなものは信用しないよ」
とお説教される始末でした。
当初の計画では会社員を続けながら、平日の夜や土日に「ジャパンライフ」の活動をして、ある程度収入が安定したら(自分がBさんからAさんに昇格してセールストークの資格が得られたら)会社を辞めて「ジャパンライフ」の専業になる予定でした。
ところが、ジャパンライフには当時、毎月、月初めの平日に「定例会」という全体集会のような行事があり、この日は会社を休んででも出席するようにとしつこく太田さんから言われ、私は会社に仮病を使って休みを取って、定例会に出席しました。
私一人が会社を休むならバレなかったと思うのですが、当時私の勤めていた会社には他にも、私を最初に「ジャパンライフ」に勧誘した同僚の斎藤くんや、斎藤くんを勧誘した先輩社員の田中さんなど、「ジャパンライフ」の活動をしている人が3名いました。
さらに田中さんが同期社員2名も勧誘したため、翌月の「月初の定例会の日」には5人の社員がそれぞれ「体調不良」で突然休むという事態が起こって、さすがに会社側が「何か変だぞ」と気づき始めました。
社員の中には「私もなんだか変な布団のセットを田中さんにセールスされたけど断った」という人も出てきて、先輩社員の田中さんや同僚の斎藤くんが手当たり次第に社員を勧誘したためについにには社長にバレてしまい、
「社内で変なものをセールスしたり、怪しいビジネスに勧誘する不届き者がいる」
ということが大問題となりました。
事件の首謀者と特定された先輩社員の田中さんは、速攻で会社を解雇されました。
ほぼ同時に斎藤くんと私も上司に呼び出されて、事情聴取のようなものを受けました。
まだ未成年だった斎藤くんや私は「田中さんにだまされていた」という結論になり、解雇はまぬがれたのですが、社内では「解雇された田中さんと一緒になって、怪しい事をやっていた人」「会社をズル休みしてまで、別の会社の製品をセールスしている人」という目で見られて、ハッキリ言って針のむしろでした。
当然の結果として、私も斎藤くんも会社には居づらくなって、自主的に会社を辞めました。
とにかく、計画は早くも狂い始め、会社は辞める、収入は激減する、「ジャパンライフ」の商品は売れない、勧誘した友人・知人からも白い目で見られる・・・と踏んだり蹴ったりの状態におちいりました。
解雇された田中さんも、
「こんな会社、こっちから辞めてやるよ!今に見返してやるからな!」
と啖呵を切って去っていったはいいものの、「ジャパンライフ」のビジネスはさっぱり上手くいっていない様子でした。
田中さんの軽自動車
30年前の「ジャパンライフ」のシステムはとにかく単純で、「Aさん(ディストリビューター)」というセールスマンのような資格を持つ人に次々と友人、知人、家族、親戚を紹介して「寝具セット」をセールスしてもらうだけです。
Aさんはだれでもいいわけではありません。派閥というか、系図のようなものがありました。
私の場合は直接声をかけてきたのは同僚の斎藤くん。斎藤くんに直接声をかけてきたのは先輩社員の田中さん。そして田中さんに声をかけてきたのは田中さんの地元の同級生の太田さんでした。
太田さん(Aさん・ディストリビューター)
↓
同級生の田中さんを勧誘
↓
会社の後輩・斎藤くんを勧誘
↓
会社の同僚・私を勧誘
というラインがあります。
「親→子→孫」のように、一直線上の系図があり、自分の知人・友人を紹介できるのはその線上にいるAさんだけでした。
なので私の場合は基本的に太田さんという「Aさん」に友人や知人を紹介することになっていました。
しかし、実は太田さんはまだ「Aさん」になって日が浅い人であると途中からわかってきました。
太田さんも、私や斎藤くん、田中さん同様、元々はジャパンライフとは無関係の会社の社員でした。
その会社の同僚にやはり、副業でジャパンライフの勧誘をやっている人がいたそうです(その人はお姉さんがジャパンライフのセールスレディでした)。太田さんはその人に誘われてジャパンライフのビジネスを始めました。そうして太田さんは比較的短期間で6人の人に寝具セットを売りさばき、「Aさん」というセールスマンの資格を得て、会社員を辞めジャパンライフの専業になったばかりでした。
「6人の人に基本の寝具セットを紹介したら、あなたもAさんに昇格できる」
というのが当時(1987年)のジャパンライフの仕組みでした。
家族や親戚が沢山いて、その誰もが比較的金銭的な余裕がある人はすぐに6人のノルマを達成できました。
太田さんはそのパターンで、あっという間にBさん(友人、知人を連れてくる人)からAさん(Bさんが連れて来た人にセールスする人)に昇格したようですが、太田さんのラインにいる田中さん、斎藤くん、私は、誰もがまったく成績がふるわないのでした。
そんな状況でも、田中さんは無理をして車を買いました。
「BさんからAさんに昇格したら、車ないと困るよ。紹介したい人がいるってBさんに言われたら、商品(寝具セット)を車に積んで、どこでもすぐに駆けつけないといけないからね」
と再三言われていた田中さんは、まだAさんにもなっていない(6人分売り上げていない)のに、中古の軽自動車を買ったのです。
これがボロいのなんのって。
しかもかなり体の大きい田中さんが運転していると、おもちゃの自動車みたいに見えるのでした。
なんとなく「パッとしない三羽烏」みたいなワンセットになった田中さん、斎藤くん、私の三名が、その窮屈な軽自動車に乗って、あちこち「ジャパンライフ」のイベントに移動する様子は、滑稽以外のなにものでもないと今ならわかるのですが、当時はまわりが全く見えていませんでした。
ジャパンライフの組織と上下関係
毎月、月初めの平日に開催される「定例会」の他にも、1987年当時のジャパンライフには沢山のイベントがありました。
時は正に「バブル絶頂期」といわれた時代です。
金あまり現象からなのか、税金対策なのか、とにかく毎週のように「ジャパンライフ」主宰のイベントがあって、まだ「Aさん」に昇格していない「Bさん」である私や斎藤くん、田中さんは、とにかくそのイベントに知人や友人を誘うようにと上からのお達しがありました。
「上から」というのは「販社の偉い人から」ということでした。
私の体験談 その1でも書きましたが、ジャパンライフには「販社」という単位がありました。1987年当時のシステムです。
6人に「寝具セット」を売った人は昇格してセールスマン的な「Aさん(ディストリビューター)」になる。そのAさんがさらに多くの勧誘をして、寝具セットをセールスしたら「販社」に昇格できる。
「ジャパンライフ」の下には販社社長を頂点としたピラミッド型の組織が全国に沢山ありました。
「ジャパンライフ」は株式会社でしたが、「販社」はいわばフランチャイズや代理店のようなもので、それぞれ個人の経営者がジャパンライフから商品を仕入れて販売する、「販売会社」=「販社」という仕組みでした。
私から見たらセールスマンの「A」さんは太田さん一人ですが、私、斎藤くん、田中さん、太田さんは全員とある「販社」の傘下に属していました。仮に「花園販社(仮名)」と呼びます。
花園販社の組織の中には「伝説」と言われているような、短期間でとんでもない売上をあげたとう「Aさん」(セールスマンやセールスレディ)が数名在籍していました。
花園販社の社長と呼ばれる人物は実は二代目社長で、初代社長はすでに巨万の富を手にして会社を弟(二代目の現社長)に譲り、外国で悠々自適に暮らしているという触れ込みでした。
社長が一番可愛がっていると言われている「Aさん」の松方さん(仮名)は、あと少しで売上が目標金額になり、販社社長の資格取得が目前と言われている人でした。
ピラミッド型の私の直系には太田さんという「Aさん」がいたのですが、この太田さんの上司的な存在でいろいろ「ああしろ、こうしろ」と指導していた「偉い人」がこの松方さんです。
このあたりは普通の会社組織と同じで、その松方さんも販社社長の二代目社長から「ああしろ、こうしろ」といろいろ言われて、我々に指導していたのだと思います。
「食事会」に「給料日」に「体験会」
とにかくトップダウンの指令は「イベントに見込み客(Cさん)を連れて来い」でした。
例えば箱根の老舗ホテル「小涌園」では、毎月のようにジャパンライフ主宰の「食事会」が開催されました。
ビュッフェスタイルの食事会が終わったあと、「健身法(けんしんほう)」と言われるマッサージのような、ストレッチのような健康体操を招待客に受けてもらうイベントがあり、その時に体の固い部分を見つけては「首が歪んでいる」だの「腰が曲がっている」だの指摘して、
「この健康寝具に毎晩寝れば、改善する」
とセールスするのが狙いでした。
「健身法」は、定義が巧妙でした。
横になってもらった対象者(これから商品をセールスしたい相手)の肩や腕や腰、脚、背中などを足で踏んでもみほぐしていきます。
「以前は健身棒という棒を使ってマッサージしていたけど、それだと医療行為だ、医師法に抵触する」
と指摘があったとかで、手で揉むのも無資格のため問題が生じるが、足で揉むなら大丈夫だ・・・と言われていました。
それでも必ず最後はお腹のあたりを手でもみほぐして、
「ああ、便秘ですか?かなり宿便が溜まっていますね。今、骨盤をゆるめます」
とかなんとか言って、骨盤のあたりに手をかけて思いっきり引っ張ったりします。
人によってはそれでお腹がごろごろ鳴って、トイレに駆け込む人もいます。
「かなり腸内環境が乱れていますね。この磁気治療器としても使われてるジャパンライフの寝具で毎晩寝れば、腸内環境も整いますよ」
とすかさずセールスして、寝具セットを売りつけるのが狙いです。
「食事会」の他にも、ジャパンライフのマージンが支給される日には、今で言う「新宿のホストの給料日」みたいなイベントがありました。
イベントの正式な名称は忘れましたが、池袋のサンシャイン60にある本社のセミナールームみたいなところに集められて、
「○○販社、××さん、今月のマージン365万円!」
「△△販社 □□さん、今月のマージン487万円!」
と、売上が高かった人のマージン(個人に支給される報酬)が読み上げられて、実際に封筒で現金が支給される場面を見せつけられる、というものです。
現在「ジャパンライフ」は千代田区西神田に自社ビルがあって、そこが本社だそうですが、1987年当時はサンシャイン60の中のワンフロアが「ジャパンライフ本社」でした。
この本社にも何かにつけ集められ、現金支給の様子を見せられたり、
「何もできなかった専業主婦の私が、今では販社の社長です」
という「ジャパンライフ」で人生が変わった人の体験談を聞かされたりしました。
「アヒル、翔びなさい(同名のテレビドラマや小説とは無関係)」という短い映画のような、ショートフィルムのようなものの上映も毎回ありました。
詳しい内容は忘れましたが、とにかく普通の人がジャパンライフのビジネスを始めてリッチになったという内容の短編映画で、1987年当時すでにかなり古臭い映像でした。「アヒル、翔びなさい」というタイトルはそのままで、空を飛ぶことができないと思っているアヒルでも、思い切って羽ばたけば飛べるんだよ。だからあなたも「私にはそんなビジネスなんてできない」と尻込みしないで、思い切ってやってみよう!ということが言いたかったのだと思います。
そうです!そうです!
イベントの話で急に思い出しましたが、当時のジャパンライフには「声出し」のようなルールもありました。
責任者や体験談を語る当事者が壇上などで発言する時、聴いている側の関係者は話に合わせて大声で、
「そうです!そうです!」
と声出しすることになっていまいした。
「みなさん、ジャパンライフの寝具で毎晩寝ていて、体調いいですよね!」
「そうです!」
「ジャパンライフのビジネスに巡り合って、感謝していますよね」
「そうです!」
「人生がハッピーになりますよね」
「そうです!」
・
・
・
こんな調子で、「そうです!」がつづくのですが、初めてイベントに呼ばれた人は異様なその雰囲気に驚きます。
創業者の理念だったか、なんだったか、とにかくマルチ商法やネットワークビジネスなどではよく使われる手法で、その場の雰囲気を「ただならぬ空気感」にすることで、その場に初めて同席した人にも「これはすごい」と思わせる効果があるとか、ないとか・・・・。
最初それをやれと言われた時には恥ずかしさで小声になっていましたが、慣れって怖いですね、数ヶ月後には大声で「そうです!」と私も叫んでいました。
本心では「何言ってるんだ」「嘘つけ」と思っているようなことでも「そうです!」と無意識に言ってしまっていました。怖いことですね。
「ジャパンライフ」のビジネスだけでは生きていけない
私を勧誘した会社の同僚の斎藤くんは、会社を辞めてしまってお掃除のアルバイトを始めました。「ジャパンライフ」のビジネスだけではとうてい生活費が稼げないからです。
最低6人の人に寝具セットを紹介することが条件となっていた当時のジャパンライフですが、私が知る限り斎藤くんが寝具セットを紹介して売り上げたのは私だけでした。
そしてまた私も、友人や知人を次々と紹介したものの、結果的に売れたのは一人分だけ。しかもその人(私の高校の同級生でした)はあとから「クーリングオフ制度を適用して解約したい」と言ってきて、返品されてしまいまいた。
私も斎藤くん同様、会社を辞めてしまったので収入も売上もないジャパンライフのビジネスにばかり関わりあっている時間もなく、とりあえず飲食店でウエイトレスのアルバイトを始めました。
結局、ローンだけが残った
飲食店のアルバイトを始めてからは、「ジャパンライフ」に関しての不満が募るばかりでした。
「この健康寝具で毎晩寝れば体調も良くなる」→「以前と全く変わらない」
「あなたにとっても、有益なビジネスだ」→「有益どころか正社員だった会社を辞め、フリーターとなり、収入激減」
「みんなで新しい会社を作ろう!」→「会社はおろか、1円の利益にすらならない」
バイト生活は、以前の週休二日制の会社員の頃のように時間的な余裕もありませんでした。
毎週のように参加を促される日曜日開催の「ジャパンライフ主宰のイベント」にも、疲れて参加する気力がわかず、あれこれ言って休みがちになり、斎藤くんが自宅まで迎えに来た時も、居留守をつかってバックレるようになりました。
「これは失敗だった。はやく関係を絶たなければ」
私はあれこれ理由をつけて、斎藤くんや田中さん、太田さんから距離を置き始めました。
いま振り返ってみれば、私が最初に「ジャパンライフ」の話を聞いたのが11月。バイトを始めたのが翌年の2月なので、実質的には3ヶ月間しかジャパンライフのビジネスに関わっていない計算になります。
電話を無視する。イベントに参加しない。関係者の呼び出しを「用事がある」「バイトがある」と言って断る。これらを続けていたら、1ヶ月後くらいにはもう何の連絡も来なくなりました。まあ、結局私は誰一人として寝具を売り上げていなかったので、
「あいつは用無し。使えない」
とみなされて、向こうからも切られたのだと思います。
わずか3ヶ月の間ではあるものの、ジャパンライフのビジネスに携わっている間に、沢山売上のあった人が突然音信不通になったとか、失踪して行方不明になったという話を聞きました。
そういう時はまるで「金づるが逃げた!」みたいな感じで、草の根分けても見つけ出す気力が関係者の間にもみなぎっていたものです。
しかし私は幸か不幸か、まったく売上もなければ、上客も持っていない存在だったので、
「はい消えた!さよなら」
て感じで、忘れられていったんだと思います。
ジャパンライフをやめたその後
私はその後、キツいバイト生活から抜け出すために、時給がいいという理由だけで派遣会社の仕事につきました。何と言ってもバブル絶頂だったので、世の中は引く手あまた。楽な仕事も沢山ありました。その派遣社員の仕事も、時給1500円くらいのキーパンチャーでした。某大手企業のオフィスで、朝から晩まで「売上伝票」だか「納品書」だかに手書きされている商品コードや数量、単価をひたすらコンピュータに入力するだけの作業で、時給が1500円ももらえたのです。
そのあとさらに就活して、結局小さな会社の正社員となって、「ジャパンライフ」とは完全に縁を切ったつもりでした。
あとに残ったのは36回分のローンと、やけに豪華な寝具セット一式です。
このあたりが「ジャパンライフ」の巧妙な手口で、「寝具セット」という商品が残っているので、これを「ネズミ講」とか「マルチまがい商法」とか言って批判したり、問題視できない仕組みになっているのです。
一説には、創業者である山口隆祥氏が、政治家や官僚などに幅広いコネクションを持ち、天下り官僚を雇い入れて各省庁の監督をまぬがれ、あらゆる法の目をくぐって今日まで「お目こぼし」を受けてきたと言われてます。
そして、
「私もだまされた」
「私もボッタクられた」
という人は沢山いると思うのですが、誰だって自分の愚かさやうかつさを世間に公表することは恥ずかしさやためらいがあるため、
「いや、まあ、そんなこともあったけど・・・・」
と、表沙汰にしないのだと思います。
というか・・・私にしても「じゃあどんな実害があったというのですか?会社を辞めた?ご自分で退職されたんでしょ?自業自得でしょ」と言われたら何も言えません。
何も言えませんが、なんだかモヤモヤする。
寝具セットのその後
改めて私が買った40万円の寝具セットの詳細を書きます・・・と言いたいところですが、さすがに30年前のことなので記憶が曖昧です。現物ももうありません。買って10年後くらいに処分しました。
とにかく覚えているのは「永久フェライト磁石」という単語が繰り返し出てきたこと。
掛け布団は永久フェライト磁石を貼り付けた高級羽毛布団。
敷き布団にも永久フェライト磁石を埋め込んだ特殊繊維素材を使用。
そして枕にも確か永久フェライト磁石が埋め込まれていたと思います。
さらには「専用シーツ」には特殊なセラミックの加工がされており、消臭効果や温熱効果があったと記憶しています。
高級羽毛布団の掛け布団はマジックテープで着脱できるような仕組みで、真冬は二枚重ねで温かく、夏場はマジックテープをはがして「永久フェライト磁石」が埋め込まれた薄い肌掛けの羽毛毛布として使用が可能でした。
敷き布団はウレタンや羊毛ではなく、シュロとか椰子とかの特殊な繊維でできていました。
今私はアイリスオーヤマの「エアリー敷き布団」を使用しています。
本当は浅田真央ちゃんが宣伝している「エアウィーヴ」という敷き布団が欲しいのですが、高いので、似たような素材でお値段の安い「エアリー」を使っているのです。
エアウィーヴもエアリーも、細いストローのような弾力性のあるチューブ状の繊維を固めて、クッション性をもたせた敷き布団です。
30年前のジャパンライフの敷き布団も、素材は違いますが似たような構造でした。
「ものは、いいものだから」
これがジャパンライフにだまされた人の口ぐせです。
自分はだまされたのではない、「ものはいいものだから、買って使って満足だ」と他人にも、自分にも言い聞かせて、話をうやむやにするしかないのです。
私も毎月、3年の間、ローンを払い続けながら自分に「ものはいいものだから」と言い聞かせていました。
今、似たようなものがわずか15,000円で買える事を知って、「ものはいいものだから、40万円でも仕方ない」とはとても言えません。
ハッキリいいって、
「どう考えてもボッタクリだろう!!」
これが本音です。
40万円という価格に見合うかと言われたら、絶対に高すぎる。粗悪品ではないかもしれないけど、40万円の価値があるものでも決してない。
似たような「マルチ商法」や「ネットワークビジネス」のことを調べていたら、「アムウェイ」の原価計算に関する「まとめ」を見つけました。
ちなみに「アムウェイ」もジャパンライフと似たような、知人や友人にアムウェイの商品を紹介してバックマージンを受け取るという「ネットワークビジネス」を展開しています。
ある有識者が、実際に「アムウェイ」の担当者からセールスされた話では、世の中に流通する様々な商品は広告費や無駄な流通経費が多いため、商品の原価なんてとても低いということだそうです。
例えばテレビでさんざんコマーシャルをしているシャンプーの価格が800円だとしても、コマーシャルにかかる広告費や、日本全国のドラッグストアやスーパーやコンビニに配送する流通経費、それらを管理する人件費などを引くと、原価は100円とか200円くらい。商品の原価なんてそんなもの・・・・これがネットワークビジネスをやっている側の言い分です。
「ジャパンライフ」も「アムウェイ」も、テレビでCMを流したり、全国の一般店で販売したりはしない。
CMのかわりに直接「使って良かったから」と友人や知人に商品をすすめる。
一般の店舗で販売しないかわりに、ダイレクトで消費者の元へ商品を届ける。
その人達に「バックマージン」として商品価格の10%や30%の代金を支払うのは、広告費として巨額の費用を投資して、それを商品価格に上乗せするのと同じことだ・・・・と言うのです。
私には、その話のおかしなところを上手く指摘できないけど、「アムウェイ」に関しては有識者が突っ込んでいます。
詳しくはこちら>>【実録:マルチ商法とは】アムウェイの本社でガッチリ勧誘されてみた!!
天網恢恢疎にして漏らさず
結局何年も前から、このような「ネットワークビジネス」や「マルチまがい商法」は出ては消え出ては消えを繰り返しています。
ある時は法の目をくぐって、ある時は天下り官僚や元警察関係者などを組織に取り込んで、「ジャパンライフ」は創業から44年ものあいだ怪しい商売を続けてきました。
私が携わった30年前には「日本医師会会長」の武見太郎が広告塔のように使われていました。
政治家や有名人、世界的なアーティストなどが「この人もジャパンライフの愛用者なんだよ」と、その時々に利用されてきたようです。
2017年現在、共産党の議員の方がそれを指摘し、国会でも質問しているようなのですが、いかんせん野党の共産党の方なのでインパクトが弱いんでしょうか・・・。
ただ、その議員が指摘している「消費者庁の課長補佐がジャパンライフに天下り」「政治家の関与もある」という話は、被害総額を想定したら、とんでもないスキャンダルだと思います。
■くわしくはこちら>>2017年4月5日消費者問題に関する特別委員会 ジャパンライフのマルチ商法を追求/官僚OB関与か
私が関わったころは「儲かる」「稼げる」ということが売りとなって、若者がターゲットとなり、
「このビジネスに参加したいなら、とにかくこの寝具セットをまずは買って」
と商品を売りつけてきましたが、今はおそらく若者やある程度の年齢(私も含めて)までは、ネットの情報や検索などで「ジャパンライフ」が怪しい会社だとか、商品も効果は期待できないとわかります。
そこでターゲットを「情弱」といわれる高齢者に絞って、健康不安をあおるようなことを言って、高額な商品を売りつけているんだと思います。
あなたの身近にいる高齢者が「ジャパンライフ」の磁気治療器や寝具、健康食品、基礎化粧品などを契約しようとしていたら、どうか疑わしい会社であり疑わしい商品であることを教えてあげてください。
磁石で人が健康になるなんて、疑わしい「エセ科学」ですが、それでもどうしても磁気治療器が欲しいなら、ジャパンライフよりずっと低価格で売られているものがあります。それで十分です。