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マッサンの再来、イチローズモルト-マッサン第76話

2017/06/12

「マッサン」第76話 あらすじ

 あらためてブレンド作業に取り組み始めたマッサン(玉山鉄二)。一方、早苗(泉ピン子)は、エリー(シャーロット)にエマ(住田萌乃)のためにも三人で広島に帰って来いと言って広島へと帰っていく。そんな中、ブレンド完成まであと一歩まで近づいたマッサンは、最初に仕込んだピートが効きすぎた原酒を少量加えることを思いつき、ついに納得できるブレンドが完成、鴨居(堤真一)に試飲してもらうのだが…。

◆今週のあらすじは→「マッサン」第13週の日別あらすじ

マッサンの再来、イチローズモルト

 「マッサン」はクリスマスエピソードとかないのかなあ・・・・とかここ数日、ぼんやり考えていたけど、今回のラストのちょっとした回想シーンと「日本最初の国産ウイスキーが誕生」というナレーションを聞いて、そうかもう前半が終わるんだ。ここから週末までは前半のクライマックスなんだなと気づきました。

 まあ・・・・何度も言っているように、あの「ピートが効きすぎた原酒」がアダとなって、初の国産ウイスキーは商業的には失敗に終わるんですけどね。

 今となっては「出荷を焦るあまり、未成熟の原酒を商品化してしまった」と語られているけど、ひょっとしたらこの説は言い訳みたいなもので、ドラマ同様当時は「これで完璧」「出来た!」とか思って、喜び勇んで出荷したのかもしれません。

 ちなみに実際の商品名は「サントリー白札」。
 「サントリー」というブランド名も、この時に誕生しました。

 サントリーの公式サイトにある「ジャパニーズウイスキー物語」によると、当時、山崎蒸溜所の近隣住民は、次々と工場へ大麦が運ばれていき、建物でひと際目を惹くキルン(麦芽乾燥塔)からは煙ばかりが吐き出される。何年経っても製品が生まれない不思議を、
「あそこにはウスケという、大麦ばかりを喰う化け物が棲んでいる」
 と言い合ったそうです。

 実際、サントリーの大阪本社では怪物ウスケを“手に負えない道楽息子”のように思っていて、赤玉ポートワインが大きな利益を生んでいるのにもかかわらず、怪物ウスケにその利益をすべて食べ尽くされてしまっていたそうです(【サントリー】ジャパニーズウイスキー物語 第二話研鑽が生んだ傑作より引用)

 マッサンには破格の年俸を払う、工場は新しく造る、原材料費も多額なら出荷できるようになるまでの維持費や人件費も大変だったはず。
 なにが凄いと言って、それだけの大事業を「やってみなはれ」精神で立ち上げた鳥井信治郎(ドラマでは鴨居の大将)がやっぱり凄い。

 なんだかんだ言っても、マッサンは大将の手のひらの上で、自由にやらせてもらっただけですからね。

 ただ、それで終わっていたら、おそらくドラマも生まれなかったでしょう。
 大将と袂を分かって、独立したマッサンにこそ「ドラマ」があるのではないかと思います。

 今回ふと思ったのは「マッサンは、結局なにがやりたかったのか?」です。
 日本で最初のウイスキーはもうつくった。あのままサントリーにいては、やはりできなかったことって何だろう・・・・。

 大将は間違いなく「商売がしたかった」んだと思います。まあ、平たく言ったら「儲けたい」。
 それを証拠に、この時代のサントリーは儲かりそうなものを手当たり次第商品化しています。
 ワイン、ウイスキー、ビール、歯磨き粉まで。

 しかし独立したマッサンは、最初こそ運転資金調達のためリンゴジュースを製造したけど、ウイスキーが出荷できるようになってからはウイスキー一筋です。

 思うに、大将はビジネスとしてウイスキーをつくったけど、マッサンは「洋酒文化」というものを日本に広めたかったのかもしれません。
 しかし、皮肉なことにサントリーは後に、社員の中から開高健や山口瞳という作家も誕生し、ただの酒造メーカーではなく文化までも創造したなんて言われて、一方、ニッカはなんだか無骨な職人集団みたいな地味な印象です。

 それでもサントリーが一人勝ちみたいにしてウイスキーを売っていたら、逆に市場も拡大しなかったかもしれないけど、対抗馬的にニッカが奮闘して、サントリーとウイスキーの出来を競ったことで、本来日本の土着のものでもないウイスキーが、今や「世界5大ウイスキー」(スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、そしてジャパニーズウイスキー)のひとつに数えられるほどのクオリティーに発展したのかもしれません。

 ところで、まったくの余談ですが、半年くらいまえにテレビで「今、日本で一番人気のウイスキー」というのが紹介されていて、それが「イチローズ・モルト」というブランドでウイスキーを販売しているベンチャーウイスキーという会社でした。

 イギリスの権威あるウイスキーの雑誌で「イチローズ・モルト」の製品が最高得点の「ゴールドアワード」に選ばれたことから、日本でも大人気となり入手困難だそうですが・・・・・この「ベンチャーウイスキー」の社長の肥土伊知郎(あくと いちろう)さんという方が、これまた酒造メーカーの息子に生まれ、サントリーに就職し、サントリーを辞めて実家の酒造メーカーを手伝うも経営危機により、同社の蒸留所は売却。
 しかしそこから起死回生を掛けて「ベンチャーウイスキー」を立ち上げ、「イチローズモルト」で高い評価を得るという・・・・竹鶴政孝の再来みたいな人物です。

 ちなみに肥土社長はサントリー時代、山崎蒸溜所での勤務を希望していたものの、現在のサントリーではウイスキーの醸造士には大学院卒の修士課程修了者のみを採用していたため断念し、東京と横浜で営業の仕事についていたそうです。

 まあ、肥土氏の場合は実家が元々酒造メーカーだったので(小さい会社だったようですが)、よくある子会社や系列会社の跡継ぎを預かって、社会勉強されるという名目でのサントリー就職だったのかもしれませんが、辞めた後本格的に独自のウイスキーを造るって、マッサンと同じ。

 サントリーはサントリーで、もちろん優秀な人材がそろっていることとは思いますが、出る杭は打たれる?やりたいことは出来ない?「やってみなはれ」と言いつつ、やはり本当にやりことはサントリーを辞めないとできないのか・・・・・。


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